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福島地方裁判所 昭和42年(わ)114号 判決

右両名に対する法人税法違反被告事件について当裁判所は次のとおり判決する。

検察官長山頼興公判出席

主文

被告人有限会社東鳳を罰金一六〇万円に

被告人川添春吉を懲役五月に処する。

ただし、被告人川添春吉に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人会社は、福島県会津若松市東山町大字石山字上原甲一、四四一番地に本店を設け、旅館業等を目的とする資本金五〇〇万円の有限会社であり、被告人川添春吉は、右会社の代表取締役として被告人会社の業務の全般を統轄しているものであるが、被告人川添春吉は、被告人会社の業務に関し、被告人会社に対する法人税を免かれる目的をもつて、宿泊収入および雑収入等の除外を行ない、無記名の簿外預金を設定する等の不正手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、

第一  被告人会社の昭和三八年四月一日から昭和三九年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額は八〇九万〇、二〇八円で、これに対する法人税額は二九七万四、二七〇円であるのにかかわらず、昭和三九年五月三一日所轄会津若松税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は五二万三、〇九〇円の欠損で、法人税額は零である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて当該事業年度の法人税額二九七万四、二七〇円をほ脱し、

第二  同会社の昭和三九年四月一日から昭和四〇年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額は一、〇四四万四、八〇二円で、これに対する法人税額は三八一万九、〇二〇円であるのにかかわらず、昭和四〇年五月三一日所轄会津若松税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は二〇万〇、四二九円の欠損で、法人税額は零である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて当該事業年度の法人税額三八一万九、〇二〇円をほ脱し、

第三  同会社の昭和四〇年四月一日から昭和四一年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額は一、二五〇万〇、二九七円で、これに対する法人税額は四四四万五、〇七〇円であるのにかかわらず、昭和四一年五月二八日所轄会津若松税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は四五七万六、九六三円で、法人税額は一五一万三、四五〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて正規の法人税額四四四万五、〇七〇円との差額二九三万一、六二〇円をほ脱し、

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人川添春吉の当公判廷における供述

一、被告人川添春吉の検察官に対する供述調書一通および大蔵事務官に対する質問てん末書二〇通

一、被告人川添春吉作成の上申書一〇通(うち三通は新井登との共同作成)

一、川添信一の大蔵事務官に対する質問てん末書二通および同人作成の上申書一通

一、新井登の大蔵事務官に対する質問てん末書一三通および同人作成の上申書三通

一、小池盛の大蔵事務官に対する質問てん末書四通および同人作成の上申書二通

一、熊谷敦の大蔵事務官に対する質問てん末書五通および同人作成の上申書四通

一、小池盛、熊谷敦、新井登の検察官に対する各供述調書

一、奥川コト、川添君子、皆川耕佑、三浦一の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、猪俣典州、浅野七郎次作成の各上申書

一、伊藤大輔、宮下キク、田中英雄、猪俣典州、浅野七郎次作成の「取引内容の回答について」と題する各書面

一、黒沼正夫作成の「建物及び建物附属設備調査表」「耐用年数関係調査書」「什器備品圧縮額調査書」「建設勘定調査表」「皆川商店仕入調査表」と各題する書面

一、伊勢昭郎作成の「法人の簿外借入金簿外支払利息調査表」「社長勘定調査書」「除外宿泊収入等調査書」「簿外経費調査書(私製関係)」「銀行調査書」と各題する書面

一、伊勢昭郎作成の「脱税額計算書」と題する書面三通

一、伊藤劭作成の「法人簿外預金の残高および受取利息調査書」「固定資産減価償却額計算表」「旅館現金売上等計算明細書補正表」と各題する書面

一、加藤功作成の「簿外仕入簿外買掛金調査書」と題する書面

一、登記官作成の登記簿謄本

一、押収してある総勘定元帳一綴(昭和四二年押第四〇号の一)、現金出納帳一綴(同号の二)、総勘定元帳一綴(同号の三)、日計票一〇冊(同号の四)、祝儀受納帳一綴(同号の五の一)、祝儀受納芳名帳二綴(同号の五の二)、私製金銭出納帳一冊(同号の六)、総売上金銭出納帳一綴(同号の七)、売上洩売掛帳一綴(同号の八)、元帳一綴(同号の九)、決算資料綴一綴(同号の一〇)、約束手形(一枚が破れて二枚になつたもの一袋、同号の一一)、酒受払帳(二枚一袋、同号の一二)、決算資料(三綴と二枚一袋、同号の一三)、バー決算書一綴(同号の一四)、法人税確定申告書三綴(同号の一五ないし一七)

(法令の適用)

被告人川添春吉の判示第一および第二の各所為は、いずれも法人税法(昭和四〇年法律第三四号)附則第一九条、右法律による改正前の法人税法第四八条第一項(第一八条第一項)に、同第三の所為は、法人税法第一五九条第一項(第七四条第一項第二号)に各該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で右被告人を懲役五月に処し、情状により同法二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予し、被告人有限会社東鳳の判示第一および第二の各事実は、いずれも法人税法(昭和四〇年法律第三四号)附則第一九条、右法律による改正前の法人税法第五一条第一項、第四八条第一項(第一八条第一項)に、同第三の事実は、法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項(第七四条第一項第二号)に各該当するが、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、右被告人会社を罰金一六〇万円に処し、訴訟費用については、刑事訴訟法第一八一条第一項本文、第一八二条により、全部これを被告人両名の連帯負担とする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 金末和雄 裁判官 野口喜蔵 裁判官 堺和之)

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